処方箋

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療養担当規則様式第二号で定められた処方箋様式

処方箋(しょほうせん)とは、診療所病院などの医療機関を受診した結果、医師歯科医師獣医師が作成(処方)し、投与が必要な医薬品とその服用量、投与方法などを記載した薬剤師に対する文書である。2010年まで「箋」の文字が常用漢字に含まれていなかったため、法令では「処方せん」と表記される。

目次

概要

日本の場合、遠隔地への旅行などといった特殊な事情がない限り、処方箋を発行することは少なかったが、本来医師法22条には処方せんの交付義務が定められており、1990年代以降のいわゆる医薬分業の方針にも基づき、原則として患者は処方箋を渡されて、調剤薬局へ提出して薬を購入する方式に改める医療機関が多くなった。

現状のシステムでは処方箋は病院で受け取り、薬局で提出するだけだが内容を把握できると医師の不注意に気づきやすくなり、また他の医師にかかるときも服薬状況を正確に述べることができるようになるのでなにかと便利である(いわゆる、「おくすり手帳」もその一つ)。

医療機関では、投薬料(処方箋発行料)として、68点が加算される(通常は、救急医療などのケースを除き、1点10円で換算されるため、10割負担で680円相当)。ただし、特定の薬剤(レバミピドなど)が処方中に含まれる場合は、別途に「特定疾患処方管理加算」[1]がある。

用紙のサイズは、A5サイズと記載様式とともに決まっているが、A4サイズ片面印刷で、右側にA5印字の際の裏面相当の部分のみ記載すれば同様に対処可能で、各調剤薬局の自動受付機に処方箋用紙投入の際も、A5サイズに折りたたんで投入できるように配慮すれば対処可能としている。

処方日数制限

保険処方せんの場合、原則的には麻薬・向精神薬や新薬は14、30、90日のいずれか処方日数の制限がある。

疑義照会義務

疑義照会とは、薬剤師が問題がある・確認が必要と判断した処方について、処方箋を発行した医師に確認を行う業務である。薬剤師法第24条により、処方箋中に疑わしい点がある場合は照会できるまで調剤してはならないと規定されている。

また、保険診療における処方箋の場合は、処方した保険医はこの疑義照会には適切に対応しなければならないと定められている。

保存義務

処方箋は、薬剤師法第28条により、調剤を完了してから3年間の保存義務がある。

有効期限

保険処方箋の有効期限は発行日を含めて4日である。この期間が過ぎると処方箋としての効力を失い、これによって調剤をする事はできなくなるため、医療機関にて再発行を受けなければならない。疑義照会での延長は原則認められていない。これは4日も経てば患者の容態も変化し、本当に投薬が必要かどうか再考しなければならない事もあるからである。

ただし長期の旅行など特別の理由がある場合に限り、事前に医師等によって有効期限が明記された場合はそれによる。

偽造処方箋

近年処方箋の偽造事件が発生している。ほとんどは向精神薬の詐取が目的で、このような場合カラーコピーなどを用いて偽造・変造されている。このほかにも、薬が足りないからと患者自身が変造する意図なく訂正したりするような事例もあり、保健所などが注意を呼びかけている。

いずれも有印私文書偽造・行使、詐欺、麻薬及び向精神薬取締法違反などの罪で処罰されている。

記載事項

全ての処方箋

処方せんには、以下の事項を記入して交付することが定められている。(医師法等)

  • 患者の氏名・年齢
小児や高齢者などは年齢によって適切な投与量が変化するので、処方監査を行う上で重要な事項となる。生年月日に替えることもできる。
  • 薬名・分量・用法・用量
  • 発行の年月日・使用期間
  • 病院若しくは診療所の名称及び所在地又は医師の住所・記名押印又は署名

保険処方箋

  • 性別
  • 保険医療機関コード:保険者が病院、診療所と薬局のレセプトの突合をしやすくし、診療・調剤報酬審査に活用するねらいがあると言われている。

麻薬処方箋

麻薬を処方する際には、以下の事項も記載しなければならない。(麻薬及び向精神薬取締法

  • 患者の住所
  • 麻薬施用者の免許証番号

調剤済み処方箋

調剤済みになった際には以下の事項を記載する。(薬剤師法)

  • 調剤済みの旨又は調剤量
  • 調剤年月日
  • 調剤した薬局等の名称及び所在地
  • 疑義照会した場合は、変更内容や回答

処方の文体

細かい文体は医療機関や医師によって差がある。

(例)アローゼン(0.5) 2P 2×朝夕食後 14TD
読み方:アローゼン0.5gの2包を2回に分けて朝夕14日分

この文章の意味はアローゼン®という1包0.5gの粉薬を1日2包(2P)、朝夕で2回(2×)に分けて飲むを14日分ということである。

他によく使われる記号としてはTがタブレット即ち錠剤、Cがカプセルのことである。また×の代わりに分という記載をすることもある。服薬歴を聞かれた場合は基本的に1日の総量で答えるのが親切である。上の例ではアローゼンを1日1gと答えればよい。しかし、処方箋に統一した書き方が存在せず、様々な表記法を知らねば対応は困難である。

その他、以前はよく見られた表記
M: ドイツ語の朝 Morgen
N: ドイツ語の昼食後 Nachmittag
A: ドイツ語の夕方 Abend
ndE: ドイツ語の毎食後 nach dem Essen
vds: ドイツ語の就寝前 vor dem Schlafen
bid: 一日二回投与 ラテン語 bis in die
tid: 一日三回投与 ラテン語 ter in die
qid: 一日四回投与 ラテン語 quarte in die
do. : 英語 ditto(=the same)の略語。ラテン語の dicere(言う)→イタリア語dire(言う)の過去分詞dettoから英語に変化したものと考えられている。

註釈

  1. ^ レバミピドの場合は、「特定疾患処方管理加算」として、投薬料の項目に18点が加算される。

外部リンク


[ 処方箋 ]の改訂履歴 出典: 『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2013/12/30 21:40)

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