ミネラルウォーター

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ミネラルウォーター

ミネラルウォーター(Mineral water)とは、容器入り飲料水のうち、地下水を原水とするものを言う。日本では特に、原水の成分に無機塩添加などの調整を行っていないものは、ナチュラルウォーターナチュラルミネラルウォーターと呼ぶ。一方、原水が地下水でないものは、ボトルドウォーターと呼ぶ。これらの区分については、農林水産省がガイドラインを定めている。

日本国内生産量では山梨県が1位(34%)であり、以下、静岡県(2位:14%)、鳥取県(3位:14%)と続く(2009年)[1]

目次

概要

{{#invoke:Message box|ambox}} {{#invoke:Message box|ambox}} この製品は当初、地下水などの硬度が高過ぎて飲用とし難い欧州を中心に、味の良い地下水のある地域の物を瓶詰めとして飲料水に販売したことに始まる。特に欧米では飲用に適する上水道と排水を流す下水道の他に、入浴洗濯などに用いられる生活用水(飲用には適さない)を供給する中水道が存在している地域もあり、上水道であっても硬度が高いために味の悪い水しか出ない地域もある。イギリスロンドンでは上水道を沸かすやかんや、湯を沸かすボイラーの内側にもカルシウムマグネシウムの結晶が大量に付着することが知られている。

このような事情により、特に水事情が悪い都市圏を中心にミネラルウォーターの販売が普遍化したが、近年では「自然である」や「健康に良い(有害な不純物を含まない)」として、世界的にも愛飲者が広く存在する。だがその一方で、ミネラルウォーターとの名称から、ミネラル無機物)を多く含んだ飲料水のことと思っている人も多いが、ミネラルウォーターにはミネラル成分の品質規定があるわけではない。

市販品では、各地の名水や大自然のイメージを前面に押し出しているものが多い。ミネラルウォーターには大豆や魚と比較してカリウムやマグネシウム、カルシウムといったミネラル分はほとんど含まれておらず、1日の基準摂取量を満たすには数十リットルから数百リットル飲む必要がある。基本的に水であるため、大量に摂取すれば摂取するほどに尿の量も増え、それに伴ってミネラル分も吸収した傍から排出される。前提としてミネラル分はきちんと食事から摂取した方が良い。

近年では、比較的水事情の良いと思われていた日本国内でも、大都市圏などの水道水には、水源の有機物系の臭いや水道配管の錆、さらには消毒のための塩素の臭いやトリハロメタンの危険性など、水質に問題があると感じる消費者も増えている。ミネラルウォーターはこのような地域を中心に売上を伸ばす傾向にあり、コンビニエンスストアなどでも普遍的に見かける定番商品と成っている。また、これらから製造されたも見掛けられる。

なお、水道水よりも水質基準がゆるく(砒素濃度が水道水の5倍まで認められるなど)、また水質検査間隔などの規制もゆるい。あくまで、飲料のみの用途を想定しているためであり、日常的に料理などに使用するのは基準の想定外である。安全性という点では、日本においては水道水に劣っている。

軟水と硬水

水に含まれるカルシウム塩とマグネシウム塩の量の指標(硬度)が一定水準より少ない場合を軟水、多い場合を硬水という。一般的に、日本国内で産出されるミネラルウォーターは軟水のものが多く、欧州で産出されるものには硬水が多い。WHOの基準では、これらの塩類の量を炭酸カルシウムに換算したアメリカ硬度(mg/L)において、0~60のものを軟水、120~180のものを硬水、180以上のものを非常な硬水というように決められている。

炭酸含有の有無

欧米では、ミネラルウォーターの原料となる水に元々炭酸が含まれているものがあり、ミネラルウォーターといえば炭酸水を指すことが多い(代表例:サンペレグリノゲロルシュタイナー)。炭酸水を冷やさずに常温で飲むと独特の味わいになるため、日常的に炭酸水を飲む習慣がない日本人には馴染めないことがある。特に「ガスなし」と断らないと炭酸水が出てくることがあるので注意すること。

「ガスなし」ミネラルウォーターには、炭酸を抜く工程を加えたもの(例:サンペレグリノの無炭酸)や、元々炭酸を含まない水を利用したもの(例:エビアン)などがある。

ミネラルウォーターをスティルウォーター(英: still water)、発泡ミネラルウォーターをスパークリングウォーター(英: sparkling water)という。

健康食品的なミネラルウォーター

従来は、単に風味の良い水として販売されていたミネラルウォーターではあるが、近年においてバナジウム糖尿病抑制効果があるとして[2]、このバナジウムを含む地下水が健康食品の一種として販売されている。なお、このバナジウムの糖尿病抑制効果には明確な裏付けがある訳ではなく、あくまでも「そのような説が発表された」という段階なのだが、早くも多くの中小の健康食品メーカーがこれらバナジウムを含む地下水の販売を行っている模様で、既に大手清涼飲料水メーカーの一部にもこれを扱う所が見られる。

なお特保の認可を得ない限り、食品に効果の表示はできない。現在、ミネラルウォーターに特保の認可を受けた商品はなく、そのため「糖尿病抑制効果がある水」などと表示する商品は無い(表示すれば薬事法に抵触する)。

機能水

医学的に効果が証明されていないので、特保の認可を得ているわけではないが、各社より健康に良い等の機能を謳った機能水が販売されている。アルカリイオン水などが有名である。

歴史

日本では、大阪府下池田の御料地内にあった銀山が三菱財閥に払い下げられた際、銀山からわき出ていた炭酸泉を瓶に詰め、1884年に現在の兵庫県川西市の平野鉱泉にて瓶詰め、『鉱泉 平野水』として発売、1885年明治屋が『一ツ矢印 平野水』としてそれ以外の地域にも発売したのが始まり。 また炭酸を含まないものは、1929年に堀内合名会社(現 富士ミネラルウォーター株式会社)が山梨県下部(現 山梨県南巨摩郡身延町下部)の富士身延鉄道(現 JR東海 身延線)の土地で湧出した水を『日本ヱビアン』(NIPPON EVIAN)として発売したのが始まり。 1960年代には大手酒類メーカーが業務用としてミネラルウォーターの販売を開始。一般家庭には、1983年ハウス食品六甲のおいしい水[3]サントリー山崎の名水』が発売されたことをきっかけとして普及。日本国外のミネラルウォーターは、1980年代終盤から1995年にかけて輸入量が急伸し、これにより一般に普及した[4]

ミネラルウォーターの表示区分

{{#invoke:Message box|ambox}} ミネラルウォーター類の品質表示ガイドライン農林水産省:平成2年3月30日食品流通局長通達「2食流第1071号」、平成7年2月17日「7食流第398号」改正)により内容物の表示を定めている。

適用範囲
地下水などのうち飲用適の水(カルシウムマグネシウムなど(硬度)及びpH値を除き、水道法第4条に適合する水をいう)を容器に詰めたもの(炭酸飲料日本農林規格(昭和49年6月27日農林省告示第567号)に規定する炭酸飲料を除く)。これを「ミネラルウォーター類」という。
  • ナチュラルウォーター
特定の水源から採水された地下水を原水とし、沈殿濾過、加熱殺菌以外の物理的・化学的処理を行わないもの。
  • ナチュラルミネラルウォーター
ナチュラルウォーターのうち鉱化された地下水(地表から浸透し、地下を移動中又は地下に滞留中に地層中の無機塩類溶解した地下水(天然の二酸化炭素が溶解し、発泡性を有する地下水を含む)をいう)を原水としたもの。
  • ミネラルウォーター
ナチュラルミネラルウォーターを原水とし、品質を安定させる目的などのためにミネラル調整、ばっ気、複数の水源から採水したナチュラルミネラルウォーターの混合などが行われているもの。
  • 飲用水、ボトルドウォーター
ナチュラルウォーター、ナチュラルミネラルウォーター及びミネラルウォーター以外のもの。

代表的な商品

2008年に販売されたミネラルウォーター類の、上位10銘柄は次の通りである。

ミネラルウォーター類の銘柄別販売集中度(2008年)[5]
商品名 シェア メーカー
日本の天然水 20.7% サントリー
森の水だより 14.8% 日本コカ・コーラ
キリン アルカリイオンの水 11.3% キリンMCダノンウォーターズ
ボルヴィック 7.6% キリンMCダノンウォーターズ
六甲のおいしい水 6.1%  ハウス食品
富士山のバナジウム天然水 3.2% アサヒ飲料
エビアン 2.6% 伊藤園
コントレックス 1.4% サントリー
財宝温泉 1.4% 財宝

採水に関わる問題

ミネラルウォーターの需要が増加する一方で、採水地においては、過剰な地下水の採取を問題視する動きもある。

サントリー天然水を製造している山梨県北杜市白州蒸溜所近辺では、近年、地下水の水位の低下や混濁が起きており、これは同工場による過剰な地下水の採取が原因ではないかとする考えがある。

近年、日本国内の良質な地下水(表流水の一部も含むと言われている)を輸出するため、国外企業が、経済的に疲弊している林業事業者から大規模に森林水源林を含む)を購入していることが明らかとなった。日本には規制する法令等が未整備であることから、大量の採水が行われることにより国土の荒廃を招く事が危惧されている[6]

調乳に対する注意

2011年東北地方太平洋沖地震が原因の東京電力福島第一原子力発電所事故で、外部に多量の放射能放射性物質)が流出したことから、東京など関東地方の一部の水道水から高濃度の放射能(放射性ヨウ素)が検出され、乳児への摂取を中止するよう要請があったことから、直後にミネラルウォーターが非常に品薄な状態になった。一部の店頭では乳幼児がいる世帯であると証明できる場合に陳列分とは別枠で提供していた。なお、2011年6月時点で在庫は十分確保されるようになり、品薄状態は改善された。

日本の粉ミルクは硬度の低い日本の水道水で溶かすことを前提に成分が設計されているため、外国製を主体とした硬度の高い製品では、ミネラル分の過剰摂取となり、乳児の体に負担をかけることが指摘されている。ミルク用にはできる限り硬度の低い製品を使うことが求められる[7]。もし適した水(軟水)が入手できない場合は、通常通りに水道水を使用することの見解が日本小児科学会などから発表されている[8]。これは、放射性物質を含んだ水を摂取するよりも、ミルクを与えないことによる脱水症状の方が危険であるという理由からである。

また「小児、妊娠中および授乳中の女性は上限値が設定できないため、食品由来以外のバナジウムは摂取しないこと」という事が危険情報として独立行政法人国立健康・栄養研究所から発表[9]されており、ミルクメーカーによってはバナジウムを含んたミネラルウォーターを推奨しない場合もある。

脚注

  1. ^ 日本ミネラルウォーター協会「都道府県別生産数量の推移」(パーセンテージについては小数点以下四捨五入)
  2. ^ http://ee-job.com/19.html
  3. ^ 2010年に販売権をアサヒ飲料に移譲。2013年に「アサヒおいしい水」のシリーズ賞品として発売を続けている。
  4. ^ 株式会社日刊経済通信社 調査部 「清涼飲料水市場」『DATA500 酒類・食品産業 on GRAPHICS ―21世紀への設計―』 日刊経済通信社、東京、2000年。ISBN 4-931500-53-6。2010年10月13日閲覧。
  5. ^ 株式会社日刊経済通信社 調査部 『酒類食品産業の生産・販売シェア-需給の動向と価格変動- 2009年版』 日刊経済通信社、東京、2009年。ISBN 978-4-931500-16-7。2010年10月13日閲覧。
  6. ^ 「日本の水源林の危機 ~グローバル資本の参入から『森と水の循環』を守るには~」(2009)、「グローバル化する国土資源(土・緑・水)と土地制度の盲点 日本の水源林の危機 II」(2010)、いずれも東京財団
  7. ^ ミルク調乳とミネラルウォーター
  8. ^ 「食品衛生法に基づく乳児の飲用に関する暫定的な指標値100Bq/キログラムを超過する濃度の放射性ヨウ素が測定された水道水摂取」に関する、日本小児科学会、日本周産期・新生児医学会、日本未熟児新生児学会の共同見解平成23年3月24日
  9. ^ 「健康食品」の安全性・有効性情報/独立行政法人国立健康・栄養研究所

関連項目

外部リンク

[ ミネラルウォーター ]の改訂履歴 出典: 『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2014/07/07 08:15)

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